センター長あいさつ
琉球大学病院アレルギーセンター長
鈴木 幹男
アレルギー疾患の有病率は高く、近年では国民の二人に一人がアレルギー疾患をもっているといわれ、国民病の一つと捉えられています。アレルギー疾患の患者さんは同時に複数のアレルギー疾患を持っていることが多く、多くの診療科、様々な職種での診療が望まれています。アレルギー疾患は命にかかわるほど重症で、高度な医療が必要な状態から、日常のセルフケアのみで日常生活に支障が出ない程度の状態まで、様々な状態が幅広い年齢層にわたりみられる疾患です。そのため、各地域やさまざまな規模の医療施設、医療者一人一人がアレルギーについて学ぶのみならず、お互いに連携をとっていくことが重要です。また、患者さん自身だけではなく、学校・保育所・職場などの社会活動においてもアレルギー疾患の管理・対応が求められることが多いと思います。
琉球大学病院は沖縄県から令和4年3月にアレルギー疾患拠点病院に指定されました。多くの診療科が連携をとり、高度医療を提供するのみにとどまらず、患者さんやその御家族、地域住民に対するアレルギー疾患に関する適切な情報提供や啓発などに取り組み、学校、児童福祉施設等おけるアレルギー疾患対応への助言、支援、医療従事者の人材育成、研究を担っていくこととなりました。沖縄県民の皆様の期待に応えるため、地域医療を担う先生方と連携しアレルギー疾患に対する情報を発信していきたいと思います。
琉球大学病院 アレルギーセンターについて
琉球大学病院アレルギーセンターは、当院が「沖縄県アレルギー疾患医療拠点病院」(2022年3月)に指定されたことにともない、2023年7月に設立いたしました。当センターでは、健康で快適な生活を送るためにアレルギーに悩まされている患者やその家族をサポートすることを目的とし、アレルギーについての正しい理解を深め、最新の情報を提供し、専門的な知識と経験に基づいた適切な治療方法を提案してまいります。
「沖縄県アレルギー疾患医療拠点病院の役割」
(1)診療
診断が困難な症例や標準的治療では病態が安定化しない重症及び難治性アレルギー疾患患
者に対し、関係する複数の診療科が連携し、診断、治療、管理を行う。
(2)情報提供
アレルギー疾患の重症化の予防には、平時からの自己管理が重要であるため、患者やその家族、地
域住民に対するアレルギー疾患に関する適切な情報提供や啓発等に取り組む。
(3)人材育成
アレルギー疾患医療に携わる医療従事者の知識や技能の 向上に資する研修や、保健師、栄養士や学
校、児童福祉施設等の教職員等に対する講習の実施に、積極的に関与する。
(4)研究
県に おけるアレルギー疾患の実情を継続的に把握するための調査・分析を行い、県によるアレルギ
ー疾患対策の推進を支援する。また、国が長期的かつ戦略的に推進する全国的な疫学研究、臨床研究
等に協力する。
(5)学校、児童福祉施設等におけるアレルギー疾患対応への助言、支援
県の各地域における学校や児童福祉施設等が抱えるアレルギー疾患に関する諸問題に対し
て、市町村の教育委員会や市町村の関係部局に対し、医学的見地からの助言、支援を行う。